■ 2001.3月読書記録

 3/1 『トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 嘆きの星』[吉田直/角川スニ―カー文庫]

 文明崩壊後の世界&吸血鬼もの……ついでに言うと、よく似た設定のマンガを知ってるような……気にしすぎかなぁ?

 登場人物などは、悪くはないけど割とありがちな設定、という印象。(……とかいいつつ、トレス・イクスは結構いいかな、など思ったりしますが。我ながら、こういうタイプのキャラにはやたらと弱いのです。はい。) どうせなら某マンガみたいな傲岸不遜な吸血鬼とか、「おいおい、こんな聖職者良いのか?」とツッコミをいれたくなるほど(以下自主規制)な神父さんとかが登場したら……って、それじゃあ本当にパクリになっちゃうな(笑)

個人的には微妙なラインでしたが、面白くないわけではなかったので、吸血鬼ものが好きで時間と興味がある人はどうぞ、ってぐらいにはお勧め。

 3/4 『天高く、雲は流れ10』[冴木忍/富士見ファンタジア文庫]

 ……本当にいつまで続くのかなー、そろそろ脱落しそうだぞーと思いつつ読んだ『天高く~』の新刊。今回のメインは都の動向でした。

 オルジェイってもっとしゃんとした人だと思ってたんだけどな。あの程度(失礼)の精神構造で、よく太陽神殿の司祭が務まっていたものだ、と妙な事に感心しましたわ。ついでに今回初登場のアルマさんも、ちょっと「おいおい……」と言いたくなるような人だったし……私みたいな人生経験少ない小娘から見ても、「その程度の事で、ぐだぐだ言うんじゃない!!」と怒鳴りつけてやりたくなるってのは、ちょっとまずいのでは。……他にもいろいろツッコミ入れたい事はあるけど、キリがなさそうだからやめよう……

 あ、チェリンカの独立はちょいと嬉しかった。まぁ、多少唐突かつ強引な気もしたけれど。この作品、登場人物の多くが他者に依存している――というか、精神的に独り立ちできてない人が多い(言い過ぎかもしれないけど、そう思う)ですからね。自分で考え、進む道を選んだというだけで、並以上の評価がしたくなります(←誉めてるんだかなんなんだか)

 え、パジャの心配はしないのかって? どう考えても生きてる人の心配を何でしないといけないんですか。今回で死亡確率ほぼ0になったんだし、そのうちに再登場しますよ(苦笑)

 3/14 『曠野の舞姫』[映島巡/EXノベルズ]

 ……この本の購入理由。「舞台がB.C.1200前後の小アジア(というかヒッタイト帝国)というのに惹かれたから」だけだったりして。あはは(^_^;

 ヒッタイトといえば、つい『天は赤い河のほとり』を思い浮かべてしまうんですよね、私。あのマンガも、そろそろ完結か?という展開になってきたし(……個人的には、もうラムセスの出番がなさそうなのがちょっと哀しい) どう終わらせるのかが気になるところです(主役2人に関してはハッピーエンドには違いなさそうだけど)。……あ、話が脱線しまくった。

 えぇと、この『曠野の舞姫』は前述した『天は赤い河のほとり』から大体100年後。「海の民」によるヒッタイト帝国滅亡に焦点をあてた内容になっています。ツッコミを入れたいところもあるけれど、それなりによくまとまっているし、普通に「小説」として楽しめます。

 でも、仮にも一国の滅亡を描いた話なのに、何故かそんなにスケールの大きな話を読んだ気にならなかったのがちょっと……ま、その点を差し引いても、佳作であったとは思いますが。

 3/20 『ザ・サード いつか時が流れても』[星野亮/富士見ファンタジア文庫]

 個人的に結構お気に入りな「ザ・サード」シリーズ最新刊。今回の文庫は、DM本誌や増刊号で連載されていた短編+書き下ろし中編で構成されています。
 時間系列を言うと、書き下ろしの中編以外は大体本編より以前の話みたいです。短編は火乃香の子供の頃や独立直後のエピソード、それに火乃香の養母・レオノーラ率いるキャラバンの話など。

 当たり前ながら、「火乃香にも半人前の頃があったんだ」という思いでした。なにせ本編のほうでは、戦闘に関しては結構無敵になってるし、精神的にもそれなりに安定してるし……言ってしまえばもうほとんど完成しかけてるキャラですから。そういう意味で、今回のエピソードは新鮮な感じでした。
 それから、初お目見えのレオノーラさんは……この母にしてこの娘ありって感じでしたねぇ。しかしこのキャラバン、和気藹々としてて(?)楽しそうです(笑)

 表題作の書き下ろしは、本編いずれかのエピソード中に火乃香が関わった事件の話。個人的には、これが一番良かったですかね。浄眼機も出演してるし(←それが本当の理由かい)

 3/22 『鬼童来訪 起の章』[一条理希/徳間デュアル文庫]

人を喰らう鬼たちが棲む現世。この世界で鬼を殺すことができるのは、「鬼童」のみ。地上に残された最後の鬼童・真那と「死なせ屋」の泰冥、そして鬼によって巨大な木の実に封じられていた少女・あけび。彼ら3人の旅路の先には何があるのか――

 少し暗い印象の和風ファンタジー。この手の雰囲気の作品は結構好きなので、それだけでもポイント高しでした。

 この作者さん、これまで発売されている他の作品のイメージ(レスキューとか)で固まっていたので、「こういう話も書くんだ」とちょっと意外な気がしました。でも設定もしっかりしてるし、なかなか面白かったです。

 キャラ的には、泰冥がいい感じでした。真那との退廃的なのか何なのかって関係も○……一応断っておきますが、「退廃的」って別に怪しい意味で言っているのではありませんからね。絶対。誓ってもいいです。
 まぁ、それはさておいて。真那の行く末はもちろん、泰冥やあけびにまつわる謎など、結構続きが気になります。次は何時頃になるのかな?

 3/24 『桃花源奇譚 東京残桃夢』[井上祐美子/中公文庫]

 中国・宋代が舞台の伝奇小説、最終巻。ついに桃花源に至った白公子たちの旅の結末は……それは読んでからのお楽しみ、ということで。

 結局崔老人は何を至上目的としていたのか(これが分からないのは私の理解力不足かも・汗)、李絳花や桃花源は以降どうなったのか等は謎のままですが、取り立てて不満はありませんでした。逆に想像を働かせる余地があるということで、物語に深みを感じるような気も。

 劉妃は……やっぱりこうなったかぁって感じです。あれ以上上手く収まる方法はなかっただろうけど、彼女に同情する気持ちも少しばかりあったので……う~ん、なんだか複雑な心境です。

 白戴星こと趙受益が、真実「皇帝」の器であるかどうか。これに関しては少々懐疑的な気持ちもありますが……結局は本人次第。少なくとも彼は自分の背負うもの、それに伴う責任を自覚しているのだから暴君にはならないだろう、と思います。補佐役にも恵まれている事ですし。

 最後、それぞれが自分の道を選んでいったのですが……宝春と戴星の別れはちょっと寂しい。お互いに進む将来が違うから仕方ないんだけど、正直なところ、やっぱりくっついて欲しかったとも思うんですよねぇ。
 個人的にお気に入りだった、玉堂。やっぱり彼はいい男でした(少なくとも私にとっては、ね)

 追記。読み直しててようやく気がついたというのも間抜けですが、玉堂ってあの玉堂だったのか。うぅ、自分ボケすぎ。つーか、なんで気がつかなかったんだよ……(凹)

 3/28 『星界の戦旗III 家族の食卓』[森岡浩之/ハヤカワ文庫]

 2巻から今回の3巻発売まで、時間的には待ったのだけど気分的にはそれほど待った気がしていないのは、やはり慣れでしょうね(苦笑)

 今回の話を一言でいうと「ジント、故郷に帰る」。帝国と<三カ国連合>の戦争は小康状態(そのためかどうか、ドゥサーニュ殿下やスポール提督、ビボース兄弟の出番がなかったのはちょっと残念)なのでそちらの話は進展なし。

 「星界の戦旗」シリーズでお馴染みの面々に加え、前シリーズ「星界の紋章」で登場した人も一部登場。クー・ドゥリン再登場はちょっと嬉しかったり。しかし、ドゥリンってば猫に対する態度が妙に微笑ましい。意外な一面が見れたような気がします。もっとも意外な一面ではエクリュアがダントツでしたが。私、彼女に対するイメージが完全にぶち壊れましたよ(笑)

 ジントとコリント夫妻の束の間の再会には、少し感動。でも、あの条約……どうしても「ジントが気の毒だよー」と思ってしまうんですけど。これ以上は、無理だったのかなぁ。……現状では、無理だったんだろうなぁ……。

 「戦旗」シリーズ自体はまだ続くようですが、ディアーホ三部作はこれにて完結とのこと。ということは、今後はディアーホは全く登場しないのでしょうか。もしそうなら、ちょっと寂しいかも。

CopyRight©2000-2006. haduki aki. All rights reserved.