約2年ぶりに発売された、「ブギーポップ」シリーズ13冊目。……どうでもいいことですが、登場人物の設定やら話やらをほとんど忘れかけていた上にこれまでの巻を再読する気もあまりない辺り、やる気がないですね私。
感想。まとめに入っているようにも見えるけれど、一部では話が広がってるというか。凪がどうやら、思いがけない出会いから統和機構関連の情報を得た?というような感じなので次巻こそもう少し話が進むと期待してもいいのかなーと思ったり。しかし、「ブギーポップ」は勿論、作者の他作品をほぼ全部読んでいないと話の全容が理解不能(むしろ読んでても何がなんだかになりません?)なのは、いくらなんでも不親切設計だろうと思った今日この頃。
それにしても、話の進まなさも手伝って半分以上惰性買いになってるなぁ。結末は多少気になるものの、この先どうしたものかと少し悩むところです。
初版はもう10年以上前になるのか……とちょっと呆然としつつ。今月のアンソロジー発売に備え、微妙に忘れかけている内容を思い出しておこうと本棚から引っ張り出してきました。
改めて読んで思いましたが、この頃の田中作品は多少の欠点は軽く捩じ伏せてしまえるぐらい面白いなぁ(しみじみ) ……と、ぼやいてもキリがないのでそういうのはさっさと切り上げて。内容を端的に言うと、大規模かつ異常な地殻変動後、地上で成立した七都市間で繰り広げられる紛争を描いた連作短編形式の群像劇。世間の評判はどうか知りませんが、個人的にこの作品は銀英伝とほぼ同レベルでお気に入りな作品。(続きが出ないおかげで)1冊でまとまってる(と思えなくもない)から、手軽に読み返せるのも嬉しいところ。
話は当事者こそ違うものの全編通して都市間の紛争ばかりなので、やや単調に感じる面もあり(それでも普通に面白いけど) その一方、そろいもそろってクセの強い主要な登場人物が繰り広げる陰険漫才の数々は妙に楽しく読めてしまいます。とりあえず、「ペルー海峡攻防戦」での主役級3名(アクイロニアのアルマリック・アスヴァール、ニュー・キャメロットのケネス・ギルフォード、プリンス・ハラルドのユーリー・クルガン)の初顔合わせの場面は何度読んでも笑えると思う。
さて、アンソロジーはどんな具合に仕上がっているのか。とりあえず、小川氏と森福氏の作品が楽しみ(あとの二人は……もともと歴史改変系の架戦が苦手な人間なので、どうも期待しづらくて、ねぇ)
とりあえず、目次で各話の題名を見た時。一つは問題なしで一つは感覚的にセーフとしても、残り二つが「……七都市っぽくないなぁ」と思った(うち一つはあとで副題があると判明したのでまぁO.K.)のは私だけではないと信じたい。それはさておき、ざっと感想。
今回一番期待していた、小川氏の作品。本伝のメイン登場人物の中からリュウ・ウェイとギュンター・ノルト、そしてギルフォード(あと、顔見世程度でAAA)が登場してます。で、感想ですが。『七都市』の正当な続編でありつつ、同時に小川氏らしさも感じさせる話に仕上がっているなぁ、という印象。ギルフォードが立場的に多少引き立て役になってしまった感もありますが、まぁそれは全て風邪のせいということで(笑) 彼らとその夢がこの後どうなったのか、素直に続きが気になってしまいますね。
個人的にわりと好きな作家さんの一人、森福都さんの作品。本伝登場人物ではアスヴァールことAAAが登場。多少傍流に近い印象も受けますが、それでもやはりわりと素直な『七都市』の続編。小川氏の作品もそうですが、普通に考えれば当然持ってしかるべきなのに、本伝を読んだときには思いつきもしなかった選択肢が提示されてる辺りが良かったです。
本伝第3話「ペルー海峡攻防戦」の影で繰り広げられていた、補給線を巡る戦いを描いた作品。ギルフォード、AAA、クルガンの3名が話題に上る程度で、本伝メイン登場人物の直接参加はなし。で、潜水艦戦がメインのこの話。軍事方面には疎いので、ひたすら「へー」とか「ほー」とか思いながら読んでた感じ(駄目駄目) そっち方面に詳しければもう少し違った意見が持てるのかもしれませんが、とりあえずはまぁまぁ面白かったというところです。
本伝からはユーリー・クルガンが登場しているのですが、「……誰これ?」と思ってしまうぐらい別人でかなりがっかりしてしまいました(←実は七都市でクルガンが一番好きな人) シュタミッツ以外とも普通に交流できるなんて、クルガンじゃないやい(そういう認識もどうかと) そんなこんなでかなり読む気が削がれつつ、一応読了しましたが。うーん、微妙。つまらなくはないけどとりたてて面白くもないという感じ。この方の作風が私にあまり合わないのかもしれませんが、それよりなにより別人すぎるクルガンが引っかかってるんだろうなぁ。これだけ別人になるなら、いっそオリジナルキャラを使ってくれたほうが良かった、と思ったり思わなかったり。
長らく絶版だった高殿円さんのデビュー作「マグダミリア 三つの星」が、改題・改稿の上復刊されました。……つまりこれは希望を捨ててはいけないということですね(何を考えてるかはまぁご想像のとおり)
で、感想。基本的なストーリィ展開は当たり前ですがほとんど変わりなし。ですが、細かい修正や「遠征王」や「そのとき」を読んでいればニヤリとできるエピソードがあれこれ追加されていたりと高殿さんファンには色々嬉しい仕上がりになっています。個人的には、ジャスターと某夫人の関係を上巻の段階でもう少し匂わせてくれれば特に言うことはなかったのですが(アルとマウリシオに関しては「今は」あまりべたべたしてないほうがいいのでこのぐらいの距離で良いです)
それはさておき、今回の見所はやはりアルの成長でしょうね。王宮の外の世界を等身大の人間として実際に体験することで次第に視野が開けていき、同時に信頼できる友人を得ていく様子は、成長モノの王道ですがやはり良いものです。キースもキースで国の現状を憂い一人戦っている姿が好印象。
書き下ろしの短編は、入れ替わり前の二人をキースの側から見た話でした。この時点でキースは行動に出ることを決意しているわけですが、その結論に至らせたアルの態度はこれを読む限りだと確かに多少問題ありかなぁ。でも、中世期の王族って大抵こんなものだろうとやや偏見交じりに思わなくもなし。
下巻は6月発売予定。今度はどんなエピソードが追加されているか楽しみですね。雑誌掲載のバルビザンデとオリガロッドとエリシオンの話も収録されていたら嬉しいんだけどなー。