ざっと読んだ印象ではなんというか、若いなーという印象でした(笑) 話の運びにしろ構成にしろ、やや荒く感じる部分もあり。展開が結構早くて、ここはもう少し書き込んで欲しいと思うこともしばしばありましたし。ただ、まだデビューされて間が無いということを考えれば、この辺りは今後の成長に期待できるかと。話自体は、最後まで読ませる勢いもあり、悪くありませんでした。むしろ、個人的に割と好きな部類の話だったので、読んでて楽しかったですね。
登場人物も、主人公とヒロインが可愛いのを筆頭になかなか良い感じ。主人公そのままで続編があってもおかしくない終わり方だったけど、別の主人公で別の話が展開されても面白いかもな、などと思いました。個人的には死世王の話が気になるんですが(←また微妙な脇役を…)
復活した則天皇帝(あるいは則天武后or武則天。ここでは「武則天」と表記)が、安禄山率いる叛乱軍から民衆を守る為に従者たちと時間移動という大技を繰り出しながら人材探しに奔走……してるのに、気がつけばいろんな時代の厄介ごとを手伝う羽目になってる物語『大唐風雲記』第3巻。今回は日本でも馴染みの深い三国時代(厳密にはまだ後漢) ちなみに、帯に書かれている煽り文句は諸葛孔明がメインと思われるものだったので、「どうせ、長坂とか赤壁とかで蜀陣営が武則天の助けも借りて大活躍!なんだろうな。ふん。」と勝手に警戒してたのですが(←私、三国志では魏・呉が贔屓です) 意外というか何というか、献帝(劉協)の長安脱出行なんて地味も地味な……こほん。マイナーな事柄にスポットが当たってます。
全体的な感想としては、2巻よりはまぁ読めました。お世辞にも飛びぬけて面白いとは言えないし、「そりゃ違うだろ」と突っ込みいれたい部分や不満な点もかなり多いけれども、中国モノ入門として軽く読むにはこれぐらいのほうがいいのかなぁ?と少し思ってみたり。つーか、ただ単に慣れてきたってだけかもしれません(苦笑)
登場人物では、一言二言だけの台詞だったけど、辨がわりと利発っぽく書かれていて吃驚。逆に協は……普通の三国志とは逆になってました。双龍兄弟はまぁ予想どおりな2人で。片一方は普通にどうでもいいのですけれど(酷)、もう片方は人の手柄をとったりもしてないしやたら美化して描かれてる訳でもないし(いや、それでもかなりなものでしたが)でそれほど嫌悪感は無かったです(←つーかそんなに嫌いか。お前。) あと、個人的には賈ク(文和)登場で小躍りしそうな程喜んでました(この人結構好きなんで……) 曹操も扱い悪くなかったし、ゲストキャラには比較的満足でしたかね。
で、まだ続くんですかね。これ。武則天もなにやら悟った様子だし過去から人を連れてくるのは止めそうな気がするんですが(孔明だけ特別扱いなんて言うなよ)、そしたらこの話の場合、他に何するっていうんだろう。(←何気に酷い言い草)
ささやかな呟き。麗華ちゃんというか婉児さん、伏皇后処刑の原因を「些細なこと」で済ませますか……それともあれって、演義Onlyだったっけ?
題名には「水滸伝」とありますが、108人出てくるあれではありません。臨安で水運業を営む夏家を切り盛りする風生・資生の従兄弟を中心に、猫をめぐる喧嘩から宰相・秦檜にまで至る陰謀を描いた、武侠小説風味の物語。
岳家軍に縁があったことから否応なく騒動に巻き込まれていく夏家の面々は、派手な立ち回りだけでなく、知謀を尽くして強かに生き残りを図ったり、迷惑の元凶になった相手をお尋ね者になる覚悟を決めてまで助け出そうとする等、楽しませてくれます。
しかし、この作品で他を圧する存在感を持つのはやはり秦檜ではないでしょうか(この人嫌いじゃないので、多少欲目があるかもしれません(^_^;)) 中国では現在でも史上最悪級の悪人として嫌われている人ですが、この作品では……まぁ、読んでからのお楽しみ、ということで。私としては、単純に「悪」と言い切れない人物に設定されているのが良かったです。主人公たちを手玉にとってもどこか憎めないというか、堂々とやりあった結果「あぁ、やられたな」と納得できる感じ(おかげで、彼の国でこれが出版されたらどんな反応が返ってくるんだろうとか、余計なことを考えてしまった・苦笑)
何処となく希望を感じる明るい終わり方ではあります。ありますが……およそ100年に南宋という国を全て平らげる草原の帝国の存在を思うと、明るい分だけ寂寥感も感じてしまいました。
明治初期の東京をモデルにした架空都市を舞台に展開される物語、二冊目。雑誌掲載の短編2本と、その内容を踏まえた中編1本を収録。
今回も、独特のまったり感は健在。個人的にはこういう雰囲気の作品大好きですが、「でも、地味だよね」と言われれば反論ができない。これでも、実は某神群呼び出したりもしてるんですけどねぇ……まったり感がそれを覆い隠してしまうという(苦笑) そういうわけで、ほのぼの日常の暖かい(ところにより悲しい)話が好きな方にこそお薦めできる作品かと。
前回はなんだか浮いて見えた戦闘シーン。今回もありましたが、前回ほど気にはなりませんでした。話の展開上必要だと思えたからか、それとも描写が割にあっさりしていたからか……まぁ早い話、さほど作品のテンポが損なわれてなかったからOKだってことでしょう。
あと、ロボット(作中では自動人形)好きな方にはたまらないかもしれません。かくいう私は、SFは苦手なれど某アニメの影響で「感情を知って、次第に自我を確立していく人工生命体」という設定にやたら弱いので、ついついニヤけてました(^_^;
独り言。時々描写されるまかない料理が美味しそう、とか思ってみたり。料理好きとしては、興味をそそられるのです……
魔法に機械が取って代わりつつある異世界を舞台に、ある帝国に巣食う組織の陰謀から始まった動乱を描く物語の2巻目。
圧倒的に戦力不足な主人公・リョーチャ側。今回はリョーチャ父の旧友に操縦のレクチャーを受けたり他国の戦闘員も合流してやや戦力アップ。少しは希望が見えてきたかと思いきや、最後には……でも、アディンも言ってたけれど絶望しない限りはきっと大丈夫ですよね。なにしろ、磨けばちゃんと光るモノを持ってる人たちなんだから。……しかし、暴走して突っ走ってしまった彼は生存確率低いよなぁ……この現状で戦力低下は惜しい(←言うことはそれだけか) せめてその他の人たちは、逃亡に成功してくれてればいいんだけれど。
敵方では、フォルカーさん……生き延びていて欲しいとは思っていましたが、この復活は……うーん微妙だ。できればコニーさんと幸せになって欲しいのに、あれじゃなんだか最後には死亡というパターンぽいんですもの(涙) ちなみに、もう一人の気になる敵役・レステス公爵夫人は、やっぱり真っ黒な方でした(笑)
で。登場人物はヨーロッパ系ばかりかと思いきや、最後に双子を拾って帰った人物はもしかしてアジア系?という描写。実際そうだったら、ますます情勢が混沌として読めなくなってくるなぁ(溜息)
しかし、なんだか結構長いシリーズになりそう。「大風呂敷を広げすぎて畳めなくなった」というパターンにだけは嵌らないで欲しいな、とひっそりと希望。……いや、どれとは言いませんがね、結構多いじゃないですか。そういうの。
同文庫から発売されている前2冊と合わせて、「ナイトウォッチ三部作」となるそうです。ということは、このシリーズはこれで完結なのか?
で、感想ですが……どうもこのシリーズは、言葉で表現するのが難しいですね(汗) 圧倒的な孤独を前に、虚構の世界に生きる一人の少女の戦いと生き様、と今回の内容をかなり乱暴かつ大雑把にまとめるとこういう話なのですが。この読後感とかは、もう読まなきゃ分からないでしょう……と、微妙に感想放棄(死) とりあえず、ラストが気に入ったことは記しておきます(勿論それ以外にも、はっとするような場面や台詞は随所に見られるのですが、やはりラストが一番印象に残ったので)
岩本氏、約一年ぶりの新作です。ちなみに私、未だにデビュー作が読めていないので、その辺の登場人物関係は想像で補いつつ読みました。
あとがきでも書かれていますが、『鵺姫真話』を読んでいるとより楽しめる作品に仕上がっています。ついでに多分デビュー作も。『イーシャの舟』も読んでおくとなお良し。正直、ここまでリンクさせられると「さすがにちょっと強引じゃ……」と思わなくもないですが。仮に大部分が後付け設定であるにしても、まぁ大体の筋は通ってるしこれでいいのかな、と……やっぱり強引だけど。しかし、そろそろ年表&人物相関図(役職含)が欲しいなぁ……上遠野作品よりマシとはいえ、これも結構ややこしいし(笑)
で。内容は、『真話』の後日談とも『真話』に至るまでの原因の一つとも言える、時の円環が紡ぎだした奇跡に等しい巡りあわせの物語。岩本氏の持ち味である「まっすぐさ」や「爽やかさ」は勿論健在です。個人的には、現実はそんなに甘くないよと思いつつ、それでも提示される明るい希望につい微笑んでしまう、といった心境ですね。これまでの作品も、10代の頃に読むともっと感銘を受けたりするんでしょうねぇ。
読了後、一番気になったこと。隆のことは、一体家族にどういう風に説明したんだろう?
スニーカー文庫から発売されている『双星記』(全5巻)の外伝的作品。あー、その『双星記』の感想が2巻で止まってることに関しては深くつっこまないでください……単なるサボリですから(逃) しかし、<夏>を巡る物語、もしかしたら今後もEXノベルスから続きが出るんでしょうかね?(『双星記』は残念ながら打ち切りなのです・涙)
今回の作品について。『双星記』では完全に脇役&主人公の引き立て役?という性格設定がなされていた(私的見解)女性将校ダイアナ・フーヴァーが一躍脚光を浴びています。彼女が宇宙に出るまで歩んできた人生、『双星記』本編での彼女の行動、そして思いがけず訪れた転機、と大雑把にまとめるとこんな具合に話は進んでいきます。一方、彼女の話と平行して語られるアル・ヴェルガスの青年メリックの物語。いくつもの偶然と必然で結びついた二つの人生の行く末は……という感じ。
話自体は、面白かったです。やや納得がいかない部分もありましたが、それでも私個人としては後半のダイアナの変化を好意的に見られたので、総合的な評価はかなり高くなってますね。別離のシーンではちょっとうるっときたし。ラスト以降は、大事な家族と穏やかに暮らせたと思いたいです(情勢は全然楽観できないんですがね……) あと、本編で一番好きだったラインバック氏の姿をまた見ることが出来たのも嬉しかった。顔がいいだけのお父さん、やっぱり貴方は良い人だ。「善意が服を着ている」とまで言われたのには少し笑えましたが。
独り言。最近の作風も嫌いっていうわけじゃないけど、デビュー当時のようなダークファンタジーもまた読みたい、とか呟いてみる。『シインの毒』と『暗殺者』(全2巻)は今読んでも面白いと思うし……つーか、『兇王子』があんな場面で打ち切りってのが納得できない(涙)