第3回ビーンズ大賞優秀賞受賞をした新人さんのデビュー作。とりあえずお試し購入。
内容は、神が姿を隠した世界で、それぞれ事情持ちの3人が偶然か運命か行動を共にすることになり、とある街で騒動に巻き込まれるというもの。割とオーソドックスなファンタジーで、特別に目新しい部分があったりするわけでもないのですが、なんとなく気に入ったというか。設定がしっかり作りこまれている感じなのも好印象でした。
メイン登場人物の3人(薬師のカナギ、詩人のソラ、暗殺者の少女ミリアン)は今のところは嫌いではないかなーという程度。でも、彼らの互いに対する距離の取り方(?)は割と好き。また、新たな目的を決めたカナギとミリアン、謎を秘めたままのソラがこれからどうなっていくかにも、いささか興味がひかれるところですね。……そういえば、バシュラールたちは今後も絡んでくるんだろうか。
一幕は終わったといえるけれど謎が残りまくってるし、普通にシリーズ展開されるのだと思いますが。続きもそれなりに気になるので、しばらく追いかけてみるつもりです。
妖猫6人姉妹のお見合い話、続編。今回は、六姫と白比佐の些細な行き違いに端を発した騒動が描かれています。
期待していた残る姉妹の見合いor恋愛話ではなかったのは残念でしたが、今回もほのぼのかわいい恋愛話で面白かったです。あと、相変わらずしっかり者な一妃と彼女の尻に敷かれてる一郎太に何だかウケてしまいました。この夫婦だけでも好きですが、結婚しても相変わらずな二朱が加わるとさらに好き(一方で、二朱の旦那様にも興味があるので、できれば登場して欲しかったなぁ、と思ったり)
今回の話で四津と意外な人との関係が出てきたので、もし次があるなら彼女の話になるのかな。だったらいいなぁと思いつつ、二朱と伍宮の話も気になるところ。なんにしろ、続きが出ることを祈ってます。
『戦略拠点32098 楽園』、『天になき星々の群れ フリーダの世界』で好評を博した長谷敏司さんの3作目にして、2年半ぶりの新作。
話自体は面白かったのですが、個人的にはかなり読みづらかった……。『フリーダ』もかなりしんどかったのだけど、今回はそれを上回るぐらい。何度か読み直して咀嚼して、ようやく意味が理解できる、という感じで。……文章そのものはそれほど難解ではないのに何故やたら読むのに苦労する羽目になったのか、我ながらかなり疑問に思うのですが。
まぁそんな苦労もあったものの、様々な魔法を用いた戦闘や(もう少し書きこんであってもいい気はしたものの)登場人物同士の関係などに興味をひかれたのも事実なので、続編が発売されたら購入するつもりではいます。
N.Y.からアトランタに左遷された元エリートの熱血刑事の事件録、第2巻。
内容は、題名どおりギャングの抗争に絡んだもの。テンポ良く転がっていく話が面白く、最後まで一気に読めました。しかし、ホンダは全体的に突っ走り気味……この人はこういう性格だと前巻の段階である程度分かってはいたものの、あまりに突っ走りまくるのでちょっとばかりウォルターに同情してみたり。
登場人物に関しては1巻の時点でもそれぞれの味がよく出ていると思っていたけれど、今回はさらにその面を強調して表現してみたりまた別の面が出てきたりしているので、より愛着を覚えてしまう感じでした。とりあえずホンダの相棒のウォルターは、1巻ではどうにも印象薄かったのですが、今回でだいぶ性格つかめました。他、結局類友なユンに吹き出し、リチャードの見せた意外な一面はホンダと同じく吃驚し、ヴィスコの傍迷惑ぶりに唖然。……最後ああくるとは思ってませんでしたよ流石に……。そして忘れちゃいけないシルビアの女王様ぶりも素敵でした。そして、何気にホンダの女難はさらに深刻化……一度お祓いでも行ったほうがいいのでは、と思ったりしなくもなかったです(笑)
なにやら色々思わせぶりな発言もあり、次巻以降の展開が気になるところです。……ところで、ヴィスコの兄もそのうち登場したりするのかなぁ。
人類と魔族の「扉」を巡る攻防を描く「煉獄のエスクード」第2巻。
今回は、凄まじい魔力を秘めた魔道書の断片に絡み、レイニーと別行動中の薫が、とある田舎町に潜入することになる、という展開。1巻のあの終わり方からどういう風に続けるのかなーと思いましたが、なるほどこういう感じできたか、という印象でした。
読み終わった感想としましては、1巻と同じく基本的にオーソドックスな話ではあるけどまぁ面白かったかな、というところ。まぁ正直、ちょっと色々あざとかったような気がしなくもないですが。ついでに、ある意味オーソドックスすぎて強い印象は残らないかも。まぁでも、1巻が楽しめたなら2巻も十分に楽しめると思いますけどねー。……ところで、今回のゲストヒロインは今後も何らかの形で登場するのでしょうか。
次からはまたレイニーや今回出番のなかった人たちも登場すると思っていいのかな。とにかく、この先も普通に楽しみ。
第17回富士見ファンタジア大賞、審査委員賞受賞作。気が向いたので、お試し買いしてみました。
上手いなぁとは思うけど、面白かったかと聞かれれば首をひねる、というのが正直なところ。とりあえず、主役3名はその関係性などなかなか良かったと思いますが、逆に思わず「空気か」とツッコミ入れたくなる残り21名のクラスメイトはもうちょっと何か演出できなかったのかなーと(最後は折角何か行動しようとしてたのに、いきなりアレだしさ……) あと、解説にも書かれているけど特に後半やたら観念的な展開になるので、そこが好き嫌いの分かれ目になるんじゃないでしょうか。
総合的には、次回作に期待、というところかな。
強大な力を持つ魔法銃「銃姫」をそれぞれの事情で追う3人の少年少女たちの物語、第5巻。今回は短編集で、収録されているのは、3作品。
本編がひたすらシリアスに突っ走ってるだけに、幾分気楽に読めました。特に「絢爛豪華武闘祭」は今後の伏線らしきものを織り交ぜつつも、登場人物がそれぞれの方向で暴走気味なコメディで、始終楽しかったです。つーか、ギースは巻を追うごとに憎めなくなっていくんですけど、私だけですか(笑)
他、ティモシー主役の「星の数は数えられない」は普通にいい話。一番ページを割いている「ホームスイートホーム」は、セドリックとアンが出会った少し変わった泥棒カップルの話。これもなかなか面白くていい話でしたが、最後が……油断してるとほぼ間違いなく大ダメージ喰らいますねこれは。こういう結末もある程度予想はしてたけど、それでもやっぱり痛かったし……。
さて、次巻は本編に戻ることになるのでしょうが、今回の伏線を踏まえた上で一体どんな展開になるのか、楽しみです。
先ごろ全28巻になる長編「封殺鬼」を無事完結された霜島さんの新作。今回は異世界ファンタジー。
登場人物たちの出会い編であり、各々の背景や世界の設定などを簡単に紹介しながら展開された序章という感じでした。この巻だけだと普通に面白いという程度の印象。ただ、裏設定などが表面化してくると盛り上がってきそうな雰囲気ではありますし。それから、トキとマユの関係がどうなるか気になるし、タマとヒューゴにもそれぞれ何かありそうだったり……なんだかんだで色々興味を惹かれる材料はあるので、とりあえず続編が出たら購入するつもりです。
独り言。そういえば、「封殺鬼」の新書版は3巻で終わりなのかな。
何年ぶりだっけ?と考えてしまう程度に久しぶりなアルスラーン戦記11巻。……何が一番嫌かって、このペースを既に諦めまじりで受け入れてるのが一番嫌ですね。はは。
愚痴はさておき感想。えーと、面白かったけど総じて次巻以降への前振りという印象が強かったような。なにしろ、パルス国内のみならず、マルヤムにルシタニア、そしてミスルといった方面でも狙ったように様々な動きがあり、そのどれもがこれから盛り上がりそうだというところで以下続く状態なので……。これが渡瀬さんや須賀さんのようにコンスタントに続刊を出してくれる作家さんなら何も言うことはないのですがねー(諦め笑い) とりあえず一番気になるのはミスルのヒルメスの今後と、かなり凄惨な戦いになりそうなペシャワールの攻防かな。特にペシャワール戦のほうは、そろそろ「皆殺しの田中」の本領発揮となるのかが気になるところ。
……さて、次はいつになるかな。3年以内には読めるといいですねー(遠い目)
独り言。いまさらだけど、このシリーズは「様々な立場・思惑の人間が交錯する歴史物語」だと思って読み始めたから、当然そっちのほうを期待してしまうんですよね、私。だから、象徴的な意味以上で魔物が跋扈する第2部の現状は、実はあまり歓迎してなかったりする。ま、好みの問題ですが。
桜庭さんの新作。『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』系の「青春暗黒物語」です。
受けた衝撃は『砂糖菓子』のほうが上ですが、だからといって本書が痛々しくない、ということはなく。周囲の状況に真綿で首を絞めるようにゆるゆると追い詰められ、やがて引き返せないところまでいってしまった少女たちの姿はなんともやるせない。
最後は、憑き物が落ちたような気がしてほっとしましたが……この後を思うと、また少し苦いものがありますね……。